2025年1月11日

Linked Open Data チャレンジ 2024 実行委員会


【開催報告】LODチャレンジ2024 授賞式シンポジウム



 2024年12月22日(日)、Linked Open Data チャレンジ 2024 実行委員会は LODチャレンジ2024授賞式シンポジウム を開催、受賞作品の表彰を行うとともに、受賞者の方々による作品紹介や技術解説が行われました。
 昨年に引き続き、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催となりましたが、多数の皆様にご参加頂き、企業活動や研究、シビックテック活動や個人での活動等においてデータを活用した様々な取り組みを進められてきた皆様に交流を深めて頂きました。
 当日のプログラム等の詳細はこちら、受賞作品一覧はこちらをご覧ください。



表彰及び受賞者による作品紹介


最優秀賞

ゴールドスポンサー賞: IIJ賞(株式会社インターネットイニシアティブより提供)

ゴールドスポンサー賞: リヴィティエ賞(株式会社リヴィティエより提供)

作品名 日本の判例データ
応募者名 西野 文人、佐藤 健

審査講評 最優秀賞:
日本の判例6.6万件をLOD化したものであり、日本の法曹界のデジタル化を促進する大変重要な作品です。 法曹界においてもAI化が期待されるなか、まずは基本的なデータを構造化データで提供している点で大いに評価します。

IIJ賞:
判例のPDFデータからテキスト情報を抽出しRDF化することで、様々な観点からの検索や分析が可能となり、判例データが活用しやすくなっています。 RDF化によってデータ活用を推進できるモデルケースのような作品だと感じました。 ネット上の情報の信憑性が問題視される中、解説等ではなく判例という信頼性の高い一次情報にアクセスしやすくなることは非常に価値があります。 LODの特性を活かし、これまでは取っつきにくかった判例データがニュースや世間の反応などと結びつく可能性も感じました。

リヴィティエ賞:
日本の判例データをRDF化し、検索や分析を可能とした本プロジェクトは、日本の法体系をデータ基盤として体系的に整理する先駆的な取り組みです。 特に、裁判や判決、判例文を概念として整理し、オントロジー設計やURI構築を通じてeLawsや法令LODとの連携を実現した点は、データの利活用を大きく進展させるものです。 こうした取り組みは、日本の裁判事例の理解を深めるだけでなく、国際的な法整備事業の参考データとしても大きな可能性を秘めており、今後の発展・改良が期待されます。
副賞 最優秀賞:賞金5万円
IIJ賞:amazonギフト券、ノベルティグッズ
リヴィティエ賞:Amazonギフト券 1万円分
発表資料 d015.pdf


部門賞: データ作成部門 優秀賞

作品名 教科書の中の源氏物語LOD
応募者名 MOL: Möbius Open Library (LODデータ構築チーム)
審査講評 戦後から現代まで多数の教科書の中に出現した「源氏物語」を、掲載教科書と掲載巻、外部のリンク情報などを調査して構造化した優れた作品です。 研究者や教育者が新たな知見を得るための基盤として、源氏物語の教育的価値や文脈を多角的に分析できる可能性が広がり、デジタル人文学への寄与も期待でき、高く評価できます。 貴重な蔵書をもつ大学図書館が、蔵書の中に隠れた知識を丹念に調査して新たな知を生み出すモデルケースとしても秀逸です。
副賞 賞金2万円
発表資料 d013.pdf


部門賞: データ活用部門 優秀賞

作品名 ArsTraverse(アルストラバース)
応募者名 松野 仁志
審査講評 生成AIを使い、PDF文書からトピックとその関係を抽出して、グラフとして表示するアプリです。 PDFをドラッグアンドドロップで簡単に入力できるインタフェースも用意されており、昨今話題の生成AIの性能を手軽に体験できるように工夫されている点を高く評価します。 今後は生成したデータをLODに変換して再利用できる機能など、データ活用の幅を広げるための発展が期待されます。
副賞 賞金2万円
発表資料 a014.pdf


ゴールドスポンサー賞: ソケッツ賞(株式会社ソケッツより提供)

作品名 駅キャラFILES
応募者名 ユース鉄道研究会
審査講評 全国の駅キャラの情報をまとめたデータセットです。 全国各地に存在するユニークで楽しい駅キャラの認知度を高め、キャラクターへの興味関心から地域・観光の活性化を考える手掛かりとなると感じました。 キャラクターの特徴の説明を追加したり、デザイナーやデザインのモチーフとなっている事物とリンクしたりすることで、駅キャラ特有の魅力をより伝えられるデータにできると思います。 さらなる発展を期待いたします。
副賞 ノベルティグッズ、ギフト券
発表資料 d019.pdf


テーマ賞: カルチャーLOD賞

作品名 葛飾北斎の浮世絵 小倉百人一首LOD
応募者名 高橋 菜奈子
審査講評
ソケッツ賞
葛飾北斎の作による「百人一首うばがゑとき」のオープンデータを国内外6ヶ国の美術館や図書館から収集し、LOD化された作品です。 全31枚からなる未完の作のためデータ数こそ少ないものの、それぞれが美しい錦絵にリンクされており、見応えのあるデータセットとなっています。 かるたや教材として古くから愛されている小倉百人一首のLODに、日本を代表する浮世絵師の作品が加わる貴重なデータセットとして、カルチャーLOD賞を表彰します。
副賞 賞金5千円
発表資料 d011.pdf


テーマ賞: AI賞

作品名 紛争構造におけるLLMのバイアス検証のためのデータセット
応募者名 井下 敬翔
審査講評 大規模言語モデル(LLM)に潜在する国家間の紛争構造に基づくバイアスを評価するための標準コーパスとして作成された作品です。 作成時にもを活用し、生成結果を人手でレビューすることでデータの量だけでなく質を担保しています。 LLMのための、LLMによる作品である本作品をAI賞として表彰します。 現在CSV形式で提供されていますが、今後はLODとしての公開が進み、その利活用によりLLMの研究開発が促進することを期待しております。
副賞 賞金5千円
紹介動画 作品紹介動画URL


テーマ賞: 技術賞

作品名 ttl2html
応募者名 高久 雅生、江草 由佳
審査講評 本作品は、Turtle形式のRDFデータセットからスタティックなHTMLファイル群を生成してWebサイトを容易に構築・運用でき、過去の受賞作品でも利用された実績あるツールです。 設定ファイルで豊富な機能を利用可能としながら、ツールの導入や実行はシンプルで動作も安定している高い完成度を評価し、技術賞を表彰します。 大量のデータ項目の識別を容易にする視覚的分類やクエリ記述不要な絞り込み機能などの提供にも期待したいところです。
副賞 賞金5千円
発表資料 a016.pdf


テーマ賞: 学術LOD賞

作品名 nihuBridge LOD; 荘園関係DB LOD
応募者名 大井 将生、中村 覚
審査講評 中世の荘園に関する研究データを時空間情報を軸にLOD化し、平易なインタフェースで使いやすく提供している作品です。 一般の人にも気軽に荘園情報にアクセスできるようになっている一方、専門的な利用もできるようになっている点を評価しました。 学術研究におけるLODの価値を示した点でも素晴らしい作品です。
副賞 賞金5千円
発表資料 a011.pdf


テーマ賞: LODプロモーション賞

作品名 日本のヴァイオリニストの師弟関係をグラフ化するためにウィキデータを整備する
応募者名 Eugene Ormandy
審査講評 書籍をもとに、不足していた日本のヴァイオリニストの師弟関係をWikidataに追加し、Wikidata Graph Builderを用いて師弟関係を可視化した作品です。 作者は継続的にWikidataの編集活動を行っており、本作品についても師弟関係以外のステートメントや日本のヴァイオリニスト以外の演奏家に関するデータの拡充を予定しているとのことで、将来の発展性も加味しLODプロモーション賞にふさわしい価値を持つ優れた取り組みと評価できます。
副賞 賞金5千円
発表資料 a017.pdf


テーマ賞: IoT賞

作品名 LODによる書誌情報補完を行う、蔵書管理システム
応募者名 福田 晋太郎
審査講評 書籍に関する知識グラフを構築・管理・検索できるシステムを作成しています。 今後、バーコードリーダーで書籍のバーコードを読み取るだけで、自動的に知識グラフを構築し、それをRDFストアに格納した上で、SPARQLクエリを用いた問い合わせまで一気通貫で行えるようになることで、より実用的なシステムに発展することが期待できます。 現実世界のモノから知識グラフの構築・管理・検索を試みている点を評価し、IoT賞を表彰します。
副賞 賞金5千円
発表資料 a018.pdf


学生奨励賞

作品名 gumid!! (グミード)
応募者名 Sousei Asanuma
審査講評 多彩なグミの世界を解き明かすことを目指し、様々なグミの「硬さ・弾力・ブチブチ感・酸味・大きさ」の5つのカテゴリーに分けて実地に測定・比較したデータです。 「グミの魅力を伝えたい!」という想いと「グミへの愛」を感じます。 オープンデータへのリンク付与などLOD化を意識した丁寧なデータ作りもなされており、今後、本データを活用した発展についても期待し、学生奨励賞を表彰します。
副賞 賞金5千円
発表資料 d018.pdf


学生奨励賞

作品名 いつでもどこでも美味しいパン! ~ 静岡市 ~ 
応募者名 静岡県立静岡中央高校 F27 鈴木ゼミ
審査講評 パンを食べたい人たちに向けて地域のパン屋の情報を集めたデータセットを作るとともに、データを利用したアプリの開発も行った作品です。 AIを活用したアプリ開発など、今後の発展が楽しみな学習プロセスに取り組んでいる活動を評価しました。 海外からの人たちなどに役立つ情報を工夫してデータ内容を充実させると、よりデータセットの価値が高まると思います。
副賞 賞金5千円
発表資料 d009a009.pdf


学生奨励賞

作品名 ジャパンサーチを用いた画像4択クイズ
応募者名 苻阪 宥樹、箕内 伊織、土井 浩平、國眼 歩美
審査講評 「JAPAN SEARCH」のデータを活用し、歴史人物、絵画、刀剣、仏像、焼き物(陶磁)をテーマとする選択した画像に対する4択クイズを生成する作品です。 SPARQLを上手に使い選択問題を出題しています。 画像の選択でランダム性が高く、難問となる場合が(特に刀剣クイズでは)多くなってしまいますが、何度でも楽しめるクイズとなっています。 解説などが同時に表示されるような学び甲斐のあるクイズ出題システムとして発展することを期待して表彰します。
副賞 賞金5千円
発表資料 a013.pdf



スポンサートーク

ゴールドスポンサーの株式会社インターネットイニシアティブ様、株式会社ソケッツ様、株式会社リヴィティエ様より、それぞれの団体の取組についてご紹介いただきました。




LODチャレンジ2024実行委員挨拶、活動報告等

実行委員長の古崎より開会のご挨拶及び活動報告を、審査委員長の武田より閉会のご挨拶を行いました。




本件に関するお問い合わせ先

Linked Open Data チャレンジ 2024 実行委員会 事務局
office@lodc.jp